私たちの心は、多くの場合、現実や事実というものに遅れをとってしまうものです。その現実・事実が重いものであればあるほどそうなります。
親しきものの死は、私たちにとって最も重い現実・事実です。心ははじけひきさかれ、それを否認しようとします。心が最も受け容れることを拒むものです。
この現実・事実と心との隔たりが、親しきものの死に直面した私たちに、はげしく深い悲嘆を抱かせるのです。
これまで長い間行われてきた葬儀は、この隔たりを埋め悲嘆を軽減することにも力を与えてきました。儀式・儀礼は葬儀に限らず、とり行うことによって、それ以前と以後との精神的転換を生むものです。
曹洞宗の葬儀は、故人に戒を授け、仏弟子となっていただき、さとりへの道へ送る内容を持つものです。これは、と もに仏道を歩む仲間として送る作法であります。
同時に、遺された私たちの心の中でも死の受容がなされるよう、心を込めて行うようにしましょう。
葬儀の流れ
剃髪(ていはつ)
仏門に入るための、剃髪の儀式です。 「剃髪の偈」という偈文を唱え、剃刀を手に取り、故人の頭に当てます。 剃髪は通夜の際に行われることもあります。
授戒(じゅかい)
故人が戒を受けるに先立ち、懺悔を行います。仏弟子となるために、新たなスタート 地点に立っていただくのです。 懺悔文を唱えるのですが、これは、故人だけでなく、遺族、参列者も生きてきた道を内面から見つめ直し、自分自身を調るものです。 それからいよいよ戒を受けます。戒は、三帰戒、三聚浄戒、十重禁戒のあわせて十六の戒で、十六条戒と言います。
龕前念誦(がんぜんねんじゅ)別名 大夜念誦(たいやねんじゅ)
故人の死に際し諸もろのみ仏の名を唱え、み仏の力によって、故人のさとりへの道をより美しいものにしていただくよう、祈念することばを唱えます。
挙龕念誦(こがんねんじゅ)
挙龕とは、文字どおり棺を挙げて葬儀場へ赴くということです。地域によっては実際に行列を組んで、火葬場などに移動します。
諸もろのお仏名を唱え、故人の安らかな旅立ちを祈念することばを唱えます。
引導法語(いんどうほうご)
たいまつ(あるいはたいまつの形をしたもの)を手に取り、右回り・左回りと円相を描きます。故人の棺に火を点じ、荼毘(火葬)に付す作法です。
次に引導法語を唱えます。法語は、まず仏法の真意を述べ、故人の生前の足跡、信仰生活などを示し、遺徳を讃え、または冥福を祈るものです。
山頭念誦(さんとうねんじゅ)
荼毘することを告げ、仏弟子となった故人がさとりの世界にやすらかに赴くよう茶湯をささげ、香をたきます。
読経(どきょう)
ここで読むお経は、地域によってまた各寺院によって違いますが、前述のように故人の仏道成就を願い、読経いたします。
回向(えこう)
葬送にあたり、しめくくりの回向文を唱えます。
※地方の風習など寺院により、それぞれ違いがある場合もあります。
